大饅頭選手権の中で

長くなる事を残す場として

ブラックベリーが好きだった

2009年の6月、僕は府中のdocomoショップにいた。
当時はスマートフォンが徐々に一般層に浸透してきた頃。
WWDCではiPhoneの3GSが発表され、ソフトバンクが徐々に存在感を増し、その一方でauはまだ読書ケータイやiidaに力を注いでいた。(この少し後に出遅れを認め、Android auを名乗る事になる)


そんな中我らがdocomoも東芝からT-01AというWindows端末を出すという事で、どれどれ、ここらで僕もビッグなウェーブに乗り遅れる前にスマホに変えてみようかなと、長年連れ添ったけど前日に急にぶっ壊れて液晶が映らなくなったFOMA N905iμを片手にケヤキ並木の自動ドアをくぐったのだ。


この時点での本命はT-01A。対抗馬としてBlackberryBold(9000)を検討していた。
しかしお店を出た時僕はBlackberryを手にしていた。

決め手はハードキーのQwertyキーボードとカッコよさだったように思う。

学生の頃には一日に100通も200通もメールをしていた僕だったが社会人になって時間に追われ心の弾力を失い… ケータイでメールをやりとりするのが億劫になっていた。めんどうくさかった。「おとこのこ」を打つのに25回もボタン押す事に耐えられる体ではなくなっていたのだ。それだったら社会生活の中でどんどん早くなるローマ字打ちの方が楽だし早いはず。また、blackberryって「デキる」「シブい」男性が使ってそう…まあ僕にぴったり!と思った。割とポジティブな26歳だった。


それから4年と数ヶ月。
20代の後半を、僕はブラックベリーと過ごした。
名古屋で矢場とん食べてる時も、四日市でキャバクラに連れて行かれた時も、品川のDEAN&DELUCAの前を素通りする時も。
ずっと一緒に過ごしてきた事はただの惰性じゃない。ちゃんと理由があった。良いことも悪いこともあったけど、青春の後半をともに過ごした大好きなブラックベリーの事をちゃんと書いておきたい。

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